猫の腎臓病を知ろう|高齢猫に多い慢性腎臓病とAIM新薬の最新情報|QOL南大阪保護猫シェルター

猫の腎臓病を知ろう

猫の病気の中でも、特に高齢猫で多く見られるもののひとつが腎臓病です。

猫は一生のうち、3匹に1匹ほどが腎臓病になるともいわれています。

猫の腎臓病は、初期には目立った症状が出にくく、気づいた時にはすでに進行していることもあります。

猫はもともと、水をたくさん飲むのが得意ではない動物です。

若い頃はそれでも元気に見えることが多いですが、年齢を重ねて腎臓の働きが落ちてくると、水分不足や腎臓への負担が表面化しやすくなります。

そして腎臓病は、一度進行してしまうと、基本的に元通りに治すことが難しい病気です。

ここでは、高齢猫に多い慢性腎臓病の基本、初期症状、若い頃からの水分ケア、治療の考え方、そして近年注目されているAIM猫薬について、やさしくまとめます。


猫の腎臓病とは

腎臓は、体の中の老廃物を尿として外へ出したり、体の水分バランスを整えたりする大切な臓器です。

その腎臓の働きが少しずつ低下していく病気を、慢性腎臓病といいます。

猫では、年齢を重ねるほど慢性腎臓病が見つかることが多くなります。

特に高齢猫、シニア猫、老猫では、見た目には元気そうでも、腎臓の機能が少しずつ落ちていることがあります。

腎臓は、一度大きく悪くなると、元通りに戻すことが難しい臓器です。

そのため、腎臓病は「症状が出てから考える病気」ではなく、元気に見えるうちから意識しておきたい病気です。


猫はもともと水をたくさん飲むのが得意ではありません

猫の腎臓病を考えるうえで、とても大切なのが、猫はもともと水をたくさん飲むのが得意ではない動物だという点です。

猫の祖先は、乾燥した地域で暮らしていたと考えられています。

そのため、少ない水分でも体を保てるように、濃い尿を作る力を持っています。

これは猫にとって大切な体の仕組みですが、反面、日常的に水をあまり飲まない子がいることにもつながります。

経験上、しっかり水を飲む子は比較的安心して見守れることが多い一方で、ほとんど水を飲まない子もいます。

特に、ドライフード中心で、水をほとんど飲まない生活が長く続く子は注意が必要です。

人間でたとえるなら、水分をほとんど取らずに、乾いた栄養食品だけを毎日食べ続けているような状態に近いかもしれません。

若い頃は元気そうに見えても、その生活が長く続くことで、年齢を重ねた時に腎臓への負担が表面化してくることがあります。

猫の腎臓病は、高齢になって突然始まるというより、猫という動物の体質と、長年の水分不足や腎臓への負担が関係していると考えることが大切です。


若い頃は大丈夫に見えても、高齢になると影響が出ることがあります

若い猫は、腎臓の働きに余裕があるため、水をあまり飲まない生活でも元気そうに見えることがあります。

しかし、腎臓は年齢とともに少しずつ働きが落ちていくことがあります。

すると、それまで何とか保てていた水分バランスや老廃物の排出が、少しずつうまくいかなくなっていきます。

現在は、猫の寿命が20年以上に達することも珍しくなくなってきました。

長生きできる猫が増えた一方で、高齢期に腎臓病と向き合う子も多くなっています。

水をほとんど飲まないまま、ドライフード中心の生活を続けてきた子では、若い頃は問題なく見えても、シニア期に入ってから腎臓への負担がはっきり出てくることがあります。

腎臓病になると、最後の数年を通院、食事管理、補液、食欲不振、吐き気などと付き合いながら過ごすケースもあります。

もちろん、すべての猫が同じ経過をたどるわけではありません。

それでも、腎臓病になってからできることには限りがあるため、元気なうちから水分を取りやすい環境を作っておくことがとても大切です。

「若いから大丈夫」「今は元気そうだから大丈夫」と思っていても、高齢になってから腎臓への負担が表面化することがあります。


腎臓病になってからでは遅いこともあります

猫の腎臓病で怖いのは、気づいた時にはすでに進行していることがある点です。

腎臓はとても大切な臓器ですが、初期の段階では症状が分かりにくく、見た目には普通に過ごしているように見えることがあります。

水をよく飲む、おしっこが増える、体重が減る、食欲が落ちるなどの変化に気づいた時には、腎臓の働きがかなり低下している場合もあります。

そして、失われた腎臓の機能は、基本的に完全に元通りに戻すことが難しいとされています。

そのため腎臓病は、なってから慌てて対策するより、若い頃から水分摂取や健康診断を意識しておくことがとても大切です。

特にシニア期に入った猫では、元気そうに見えても、定期的な血液検査や尿検査を受けておくと安心です。


初期症状は分かりにくいことがあります

猫の腎臓病で難しいのは、初期にははっきりした症状が出にくいことです。

猫は体調不良を隠すのが上手な動物です。

そのため、少しずつ進行していても、飼い主さんが気づきにくいことがあります。

次のような変化がある場合は、腎臓病を含めた体調不良のサインかもしれません。

  • 水を飲む量が増えた
  • おしっこの量が増えた
  • トイレの砂がすぐ重くなる
  • 体重が少しずつ減っている
  • 食欲にムラがある
  • 毛づやが悪くなった
  • 吐くことが増えた
  • 口臭が気になる
  • 元気がなく、寝ている時間が増えた

これらの症状は腎臓病だけに限りませんが、特に高齢猫で見られる場合は早めの受診をおすすめします。


多飲多尿は大切なサインです

猫の腎臓病でよく見られるサインのひとつが、水をよく飲む・おしっこが増えるという変化です。

一見すると「水を飲んでいるなら良いこと」と思うかもしれません。

しかし、腎臓の働きが落ちてくると、尿をうまく濃縮できなくなり、薄い尿がたくさん出ることがあります。

その結果、体から水分が出ていきやすくなり、猫は失った水分を補うために水をよく飲むようになります。

つまり、多飲多尿は「よく水を飲んでいて健康」というより、腎臓の働きが低下しているサインである場合があります。

「最近よく水を飲む」「トイレの砂がすぐに重くなる」「おしっこの量が増えた」と感じた時は、年齢のせいだけにせず、動物病院で相談しましょう。


若い頃から水分を取りやすい環境を作る

腎臓病になってから水分管理を始めることも大切ですが、本来は若い頃から水分を取りやすい環境を作っておくことが理想です。

猫は、のどが渇いていても、犬のようにたくさん水を飲むとは限りません。

そのため、水皿を置いているだけで十分とは限らず、猫が自然に水分を取りやすい工夫が必要です。

  • 水飲み場を複数用意する
  • 器の形や高さを猫に合わせる
  • 水をこまめに新しくする
  • ウェットフードを取り入れる
  • 流れる水を好む子には給水器を検討する
  • 夏場や暖房の季節は脱水に注意する

特にドライフード中心の猫は、食事から取れる水分が少なくなりやすいため、飲水量やおしっこの様子を日頃から見ておくことが大切です。

ドライフードだけをよく食べていても、水をほとんど飲まない場合は、体に入る水分量が少なくなりやすいです。

腎臓病になってから慌てて対策するのではなく、元気なうちから水分を取りやすい生活を整えてあげましょう。


検査で分かること

腎臓病は、見た目だけでは判断できません。

動物病院では、血液検査、尿検査、血圧測定、画像検査などを組み合わせて確認します。

血液検査では、BUN、クレアチニン、SDMA、リンなどの数値を見ることがあります。

尿検査では、尿の濃さや、たんぱく尿の有無などを確認します。

また、腎臓病の猫では高血圧が関係することもあるため、血圧測定が大切になる場合もあります。

検査結果によって、腎臓病の進行度や、その子に必要なケアの内容が変わってきます。

特にシニア期に入った猫は、元気に見えても定期的な健康診断を受けておくと安心です。


治療は「治す」より「支える」考え方が中心です

猫の慢性腎臓病は、完全に治すというより、進行をできるだけゆるやかにし、症状を和らげながら生活の質を保つ治療が中心になります。

腎臓病になってからできることはあります。

しかし、その多くは、失われた腎臓を元通りにする治療ではなく、今残っている腎臓の働きをできるだけ守り、体調を支えるためのケアです。

食事療法、水分管理、補液、吐き気への対応、リンや血圧の管理など、その子の状態に合わせた対症療法が中心になります。

だからこそ、腎臓病が進んでから対応するのではなく、若い頃から水分を取りやすい環境を整え、シニア期に入ったら定期検査を受けることが大切です。

「まだ元気だから大丈夫」と思っている時期こそ、将来の腎臓を守るための準備ができます。


腎臓病のケアで大切なこと

猫の慢性腎臓病は、長く付き合っていくことが多い病気です。

治療やケアの内容は、猫の年齢、症状、検査数値、食欲、脱水の程度などによって変わります。

一般的には、次のようなケアが考えられます。

  • 腎臓に配慮した療法食
  • 水分を取りやすい環境作り
  • 脱水がある場合の補液
  • 吐き気や食欲不振への対応
  • リンの管理
  • 血圧の管理
  • 定期的な血液検査・尿検査

大切なのは、自己判断でフードや薬を変えないことです。

腎臓病のステージや体の状態によって、必要な対応は変わります。

必ずかかりつけの獣医師と相談しながら、その子に合った方法を考えていきましょう。


食事管理について

腎臓病のケアでは、食事管理が大切になることがあります。

腎臓病用の療法食は、腎臓への負担を考えて、リンやナトリウム、たんぱく質などが調整されています。

ただし、腎臓病だからといって、自己判断で急に食事を変えるのはおすすめできません。

猫によっては、食事を変えたことで食べなくなってしまうことがあります。

腎臓病の猫にとって、食べない状態が続くことも大きな負担になります。

療法食を始める時は、獣医師と相談しながら、今の食欲や体重、検査結果を見て進めることが大切です。

「理想の食事」だけでなく、実際にその子が食べられるかどうかも、とても大切な視点です。

また、腎臓病の猫では水分摂取も大切になるため、ウェットフードを上手に使うことが役立つ場合もあります。


水分を取りやすい環境を作る

腎臓病の猫では、水分管理がとても大切です。

猫はもともと水をたくさん飲むのが得意ではないため、ただ水を置くだけでは十分に飲んでくれないこともあります。

水飲み場を複数置く、器の種類を変える、こまめに新鮮な水に替える、ウェットフードを活用するなど、飲みやすい環境を整えてあげましょう。

流れる水を好む猫では、循環式の給水器が合う場合もあります。

水を飲まない子には、器の置き場所、素材、高さ、水の温度、フードとの距離などを変えるだけで飲みやすくなることもあります。

ただし、脱水がある場合や食欲が落ちている場合は、家庭で水を置くだけでは足りないこともあります。

補液が必要かどうかは、必ず動物病院で相談してください。


家庭で見ておきたい変化

腎臓病のケアでは、家庭での観察がとても大切です。

毎日きっちり記録できなくても、いつもと違う変化に気づけるようにしておきましょう。

  • 水を飲む量
  • おしっこの量や回数
  • 食欲
  • 体重
  • 吐く回数
  • 便の状態
  • 毛づや
  • 元気や動き方

特に体重は、見た目だけでは分かりにくい変化です。

少しずつ減っている場合、病気の進行や食欲低下のサインかもしれません。

高齢猫では、定期的に体重を測る習慣をつけておくと、早めの気づきにつながります。


すぐに受診したいサイン

次のような様子がある場合は、早めに動物病院へ相談しましょう。

  • 食べない状態が続いている
  • 何度も吐く
  • ぐったりしている
  • 水も飲めない
  • 急に痩せた
  • 口臭が強く、よだれが出る
  • おしっこが出ていない、または極端に少ない
  • 脱水しているように見える

腎臓病は慢性的に進むことが多い一方で、急に体調が悪化することもあります。

「もう少し様子を見よう」と迷っているうちに悪化する場合もあるため、気になる変化がある時は早めの受診が安心です。


AIMとは?猫の腎臓病で注目されている理由

近年、猫の腎臓病に関してAIMという言葉を聞く機会が増えています。

AIMは、体の中で不要になったものを片付ける働きに関係するとされるたんぱく質です。

猫では、このAIMの働きが十分に発揮されにくいことが、腎臓病の進行と関係している可能性があるとして研究されてきました。

そのため、AIMを利用した猫の慢性腎臓病治療薬は、これまでの対症療法とは違う新しい選択肢として大きな期待を集めています。

ただし、AIMは「今すぐ家庭で使える万能薬」という意味ではありません。

どのような猫に使えるのか、どの段階の腎臓病に適しているのか、実際の使い方や費用などは、正式な承認や販売後の情報を待つ必要があります。


AIM猫薬「FeliAIM」の最新情報

2026年4月24日、AIM猫薬「FeliAIM」について、農林水産省へ動物用医薬品としての製造販売承認申請が行われたと発表されました。

これは、猫の慢性腎臓病治療において大きな前進といえるニュースです。

一方で、現時点では「承認された」「すぐに動物病院で使える」という段階ではなく、承認に向けた審査の段階です。

期待の大きい薬ではありますが、今腎臓病の治療を受けている猫については、現在の治療や食事管理を自己判断でやめないことが大切です。

AIM猫薬について気になる場合も、必ずかかりつけの獣医師に相談しながら、今できるケアを続けていきましょう。


AIMに期待しながら、今できることを大切に

AIM猫薬は、猫の慢性腎臓病にとって希望のある研究・治療薬として注目されています。

将来的に使えるようになれば、腎臓病の猫たちにとって大きな選択肢になる可能性があります。

しかし、今この瞬間に大切なのは、現在できる検査とケアを続けることです。

定期検査、食事管理、水分管理、体重チェック、吐き気や食欲不振への対応など、日々の積み重ねが猫の生活の質を支えます。

新しい医療の情報を正しく知りながら、目の前の猫の状態に合ったケアを続けていきましょう。


まとめ

猫の腎臓病は、高齢猫に多く見られる大切な病気です。

猫は一生のうち3匹に1匹ほどが腎臓病になるともいわれており、特に年齢を重ねた猫では注意が必要です。

猫はもともと水をたくさん飲むのが得意ではなく、少ない水分でも体を保てるように尿を濃くする力を持っています。

若い頃は問題なく見えても、ドライフード中心で水をほとんど飲まない生活が長く続くと、高齢になってから腎臓への負担が表面化することがあります。

腎臓病は、なってから完全に元通りに治すことが難しく、多くの場合は進行をゆるやかにしたり、症状を和らげたりするケアが中心になります。

だからこそ、元気なうちから水分を取りやすい環境を整え、シニア期に入ったら定期的な血液検査や尿検査を受けることが大切です。

AIM猫薬「FeliAIM」は、2026年4月に製造販売承認申請が行われた注目の新しい治療薬候補です。

今後の進展に期待しながらも、現在治療中の猫については自己判断で治療を変えず、かかりつけの動物病院と相談しながら、今できるケアを続けていきましょう。

猫の小さな変化に早く気づき、穏やかに過ごせる時間を少しでも長く支えてあげることが大切です。


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